近年、デジタル技術の進歩により、企業が提供する商品・サービスだけでなく、顧客の消費行動も多様化している。例えば、インターネットやスマホを利用したWeb完結型のサービスも多く誕生し、利用者も増加傾向にある。保険業界においても同様であり、保険の契約申し込みから保全手続き、保険金請求まで、ほぼすべてのプロセスがWeb上で完了できるようになった。より良いサービスや顧客体験を提供するためには、Web上の顧客行動の分析が重要なカギとなる。
デジタルイノベーション推進部
デジタルイノベーション推進課 橋本 幸枝
アンケート調査会社の企画担当としてキャリアをスタート。情報サービス、ヘルスケア、国際NGOと、さまざまな事業ドメインの企業・団体を経験し、10年以上にわたってウェブディレクション、サイト分析、ウェブマーケティングに従事。2018年8月アフラック入社、現職。
アフラックにおいて、デジタルイノベーション推進部のWeb AnalystはWeb上のUIの課題発見、改善及びUXの向上を図るうえで欠かせない存在である。彼らのミッションは、Webサービス・プロダクトに対して各種ツールを駆使し、当該サービスやプロダクトが抱える課題を発見すること。そして、来訪いただくお客様のインサイトを読み解き、ニーズに沿った改善を行うことだ。
アフラックは約1,500万人の契約者を有しており、お客様向けのサイトには日々、多くのお客様が来訪している。お客様向けサイトは様々なお客様が訪問する重要なタッチポイントであり、そこでより良い商品・サービスを提供するため、常にお客様の動向を把握する必要がある。
お客様向けサイトのWebページ分析では、アクセス解析ツールを活用し、データドリブンでPDCAサイクルを回し、課題はないか、改善できる箇所は存在しないかを探求していくという。
「日々の業務では、他部門とのコミュニケーションを大切にしています。アクセス解析ツールの出す数字には改善のヒントがたくさん隠れている、いわば「お客様の声なき声」なのです。Web Analystはその声を拾いあげて、解釈し、ビジネス部門やIT部門にわかりやすく明確に伝えます。そうして各部門が改善をすることで、より高品質なサービスの提供、お客様のスムーズなサイト利用に繋がっています。」(橋本)
アフラックのWeb AnalystはWebサイトやアクセス解析ツールに関する専門知識はもちろん、保険というサービスの特異性も念頭に置いておかねばならない。それは、一般のEコマースとは違い、日常生活を送る上で能動的に保険に入ろうと考える人は限られるということだ。日々接している情報メディアやSNSと、一生のうち接点の少ない保険サービスでは、Webサイト設計の根本から違うのである。Webサービスに関して多彩なバックグラウンドを持つWeb Analystは、保険業界未経験でキャリア入社した者も多く、今までの経験や知識と異なり戸惑う点もあったという。そんな彼らも、業務を通じて保険サービスの知識を習得しながら、新たな知見を導くデータのスペシャリストへと進化を続けている。「私は他業種でWebサービスに関わった経験は長いのですが、保険業界の経験はまだ浅く、業種による違いに驚くこともあります。しかし、他のWeb Analystとお互いの経験や得意分野を持ち寄ることで、より多くのお客様にとって有益なデータ分析に繋げています」(橋本)
また、Web Analystは「数字を見る、分析をする」だけでなく、業務を通じてデータドリブン思考を全社に浸透させる役割も担っている。アクセス解析ツールの実装支援や分析支援が、最たる例だ。アクセス解析ツールの実装支援とは、サイトのKPIを考えたときに計測しなければいけないポイントや実装内容を、ビジネス部門やIT部門と協議しながら決定する。一方、分析支援とは、具体的には勉強会の実施や分析例の提示、問合せへの回答をする。つまり、Web Analystによるこれらの支援を通じて、すべてのWebに携わる部門の社員が『自分で』分析することが可能になったのである。