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2022.02.21

多様なデータサイエンティストが活躍できる背景にある、一人ひとりが “ちゃんと” 評価される仕組み

「データサイエンティスト」という在り方は実に多様です。そこに明確な定義や線引きはなく、スキルの幅や深さ、得意とする領域は、人によって大きく異なります。

さらには、職務に求められる対応領域が広いことから、的確な評価がされにくかったり企業と個人でスキルセットのミスマッチが起こりやすかったりと、課題が生じやすい職務領域でもあります。

そんな中アフラックでは、個々のキャリア観に応じて自由度高く職務範囲を選択でき、その上で然るべき評価を得られるという、一人ひとりが活躍しやすい環境を整えています。

そうしたデータサイエンティストのための環境づくりについて、データサイエンス統括を務める福本 信吾に話を聞きました。

PROFILE

デジタルイノベーション推進部
データアナリティクス課
プリンシパルデータサイエンティスト
福本 信吾

大手SIerでシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、主に銀行向けにデータ分析を行うベンチャー企業に転職。在籍した約16年の間に、採用に未経験者育成にチームビルディングにと、部長として企業の拡大に貢献。同時に、一般社団法人データサイエンティスト協会のスキル委員も務める。その後外資系生命保険を経てアフラックに入社し、現職。

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データサイエンティストには3つのタイプがある

—— 一意的ではないというデータサイエンティストですが、どのように異なるのでしょうか?

アフラックにおいては、データサイエンティストの活躍の仕方は大きく三つのタイプに分けることができると思っています。

一つめは、先端かつ高度な分析技術を駆使しながら、難易度の高い分析を推進していくような、技術力でデータ分析に貢献するタイプ。
二つめは、分析そのものよりも、ビジネス課題をヒアリングしそれを分析課題に落とし込み、プロジェクト品質を高めるためにビジネス力でデータ分析に貢献するタイプ。
そして三つめは、その双方をバランスよく実行するタイプです。

—— 具体的な仕事内容に落とし込むと、福本さんの場合は、現在どんな役割を担っているのでしょうか?

データサイエンティストとして分析者になることもありますが、プロジェクトに関わる場合は、分析者をサポートして高品質なデータ分析の実現をリードする、二つめの役割を担うことが多いです。

データ分析は少し方向性を間違えると、ビジネスにつながらない分析ばかりしてしまうことになりかねず、ともすれば時間だけを消耗してしまいがちです。

そうならないよう、分析の要件定義・設計、メンバーや進捗の管理、分析内容のチェック、ビジネスサイドへの分析結果の提示など、それぞれの場面でいかに分析結果の品質を担保していくかを考えながら、プロジェクトを推進する必要があります。

私は主に、ビジネス上で注目すべきポイントを絞り込み、分析の方向性を定め、データ分析者の仕事に落とし込んでいくことで、ビジネス価値につながるデータ分析ができるように導く仕事をしています。

そうした役割を持ちながら、統括という立場でチーム全体をまとめる役割もあります。

現在のチームには、得意分野の異なるいろいろな社員がいますし、社員だけでは足りない領域については、協力会社の方にもサポートいただいています。
そうした社内外も含めた包括的な管理、データサイエンスのチームビルディングが私の重要な役割です。

—— どれも経験が必要とされる役割ですが、福本さんはこれまでどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?

大手SIerでシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、主に銀行向けにデータ分析を行うベンチャー企業で、約16年データ分析および分析チームの統括として、未経験者の教育からマネジメントまで実施してきました。
その後、外資系企業でも3年ほどデータサイエンス領域に携わってきましたから、データサイエンスとは長い付き合いです。

また、日本におけるデータサイエンティスト育成、業界の発展を推進する組織、一般社団法人データサイエンティスト協会では、スキル委員も務めていました。

そうした経験が、今に集約されているかもしれませんね。

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データサイエンティストドリブンな組織を

—— 先ほど、データサイエンティストのタイプは3つに分類できるとおっしゃっていましたが、そうなるとキャリア観も異なると思います。どうやって、個の意向に合わせた環境を用意しているのでしょうか?

メンバーそれぞれの意向をできるだけ仕事に反映できるよう、課長の棚橋と密に連携することで、それを実現しています。

実際にメンバーからの要望や意見をくみ上げるのが棚橋、プロジェクトの特徴を加味しながらメンバーの希望とプロジェクトをペアリングするようにアサインするのが私です。

そうしたペアリングだけではデータサイエンティストが足りませんから、協力会社さんにサポートいただきながら、私も分析者になりながら、チームを回しています。

—— 異なるキャリア観が参加するプロジェクトに反映されるのは素晴らしいことですが、タイプが異なることで、何か問題は生じないのでしょうか?

データサイエンティストに求められるスキルセットは、ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力という3つの要素に分けられています。

おっしゃる通り、年齢や経験、嗜好によって、どこに重きを置いたデータサイエンティストになりたいかはタイプがわかれます。3つをバランスよくやりたいという人もいれば、データサイエンスに重点を置いてやりたいという人もいるわけです。

そうした中で、アフラックではどのタイプであってもいい。というよりも、どんなタイプもアフラックのデータサイエンスチームには必要なので、むしろ多様な方がいいと思っているんです。

—— 多様な方がいいという背景には、どんな考えがあるのでしょうか?

私は元々データサイエンティスト協会のスキル委員を務めていました。

そこでは、データサイエンティストに求められるスキルセットをさらに細分化し、具体的に必要なスキルを定義していたのですが、口頭では伝えきれないほど、幅広い能力が必要とされるわけです。

そんなスキル量を、一人で全て満たすことは、そもそもあり得ない。最終的には、「チーム全体でその能力を満たせばいい」というのが、そのスキル委員会での見解でもありましたし、私自身もそう理解しています。

アフラックでもそうした考えのもと、どのタイプであっても確実に活躍できるようにしていきたいと、評価制度も含めて環境を整えてきました。

—— 具体的には、どのような評価の仕組みになっているのでしょうか?

データサイエンティストに求められるスキル領域というのは、先ほどお伝えしたビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力という3つになるのですが、それぞれのスキル領域においては当然そのレベルもあります。

アフラックでは、そのレベルに応じた職位を設けています。評価を受け、職位をアップしていくためには、定められた基準をクリアしなくてはならないのですが、その基準のクリアの仕方は人それぞれでOKなんです。

例えば、データサイエンス力とビジネス力が5段階評価になっていて、ある職位に達するには、合計10中7以上の評価が必要だったとします。その評価7をもらうためには、データサイエンス力5・ビジネス力2でもいいですし、データサイエンス力3・ビジネス力4でもいいということです。

持ち合わせているスキルをパフォーマンスとして業務内で発揮できているのであれば、その強みはちゃんと評価されるようになっているし、どこかのスキルだけが突出している場合であっても、バランスよくスキルを持つ場合であっても、総合的に相応な評価がなされるようになっているんです。

—— だから、どんなタイプのデータサイエンティストでも活躍できるというわけですね。

そうですね。こうした評価形態は、私が入社した当時はまだ整備されていませんでしたが、メンバーを増やし組織を強化していく場合には整備が必要です。

データサイエンティスト協会で得た知見を活用しながら、半年ほどの時間をかけて、さまざまな人の協力を得ながら運用に落とし込んできました。

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価値発揮するデータサイエンスは「チーム」から

—— その他にデータサイエンティストたちのために何か取り組んでいることはありますか?

「実際のプロジェクトで得た知見を交換できる機会が欲しい」という意見から、2週間に一度、技術的な成果を共有し合うデータサイエンティストだけの情報交換会を開催し続けています。

データサイエンティストは他の役割の人とチームを組んで案件に取り組みますが、各案件にはデータサイエンティストが1人ということが多いため、横に繋がることで、自分には無い知見や異なる刺激を得て、スキルアップしたいと考えている人が多いですからね。

—— 継続されているということは、情報共有による効果を得られているんですね。

そうですね。情報交換は協力会社さんも含めてやり始めたのですが、パートナーの意外なバックグラウンドが知れたり、現場で役立つ情報を得られたりと、組織の垣根を超えて刺激し合える環境にあると思います。

そうした話の中から、自分の得意分野が見えてきたり、改めて相手の強みを認識できたり、チームにとってすごくいい時間になっていると感じます。

—— メンバーからの意見で始まったとのことですが、そうした意見や考えは積極的に取り入れているのですか?

メンバーからもらう要望に対しては、基本的にはいつも、実現に向けた方向で考えたいという思いがあります。

当然ながら、会社の方針や業態の特性上どうしても実現できないこともあるのですが、出てくる意見はほとんどが前向きなものですから。

—— 今後データサイエンティストチームを、どんなチームにしていきたいと考えていますか?

最近考えているのは、ビジネス部門から「あっ」と驚かれるような新たな取り組みをチームでできたらいいなということです。

今のところ、ビジネス側から依頼されたものを実施するのに精一杯で、なかなか自分たちから提案するまでは手が届かないのが現状です。でも、そうした取り組みを外部にも積極的に発表することができれば、アフラックのデータ分析が対外的にも評価されるようになっていきます。チームメンバー全員で、そうした取り組みも考えていけたらなと思っているところです。

ですがそのためには、もっと仲間が必要です。

何度もお伝えしている通り、データサイエンスは領域が広い。今いるプロフェッショナルたちはみんな優秀ですが、それでも全ての領域をカバーできているわけではありません。

一人ですべてできてしまうスーパーマンなんて、いないのです。
だからこそ、チームでそれを実現したい——。

そうした意味でも、「私はこれが得意です!」という人と一緒に仕事がしたい。そんな風に私は思います。

誰しも突き抜けた才能を必ず一つは持っているので、お互いが刺激し合えます。それがチームにとって、良い化学反応になっていくんです。

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